起こりがちな問題点と解決方法を知る

幼老複合施設とは、高齢者と幼児が共存する福祉施設です。高齢者が利用する介護施設と、幼児が利用する保育施設を複合させた施設であり、高齢者と幼児の相互扶助が期待されています。高齢者と幼児が交流を図ることで、高齢者にとっては認知症防止、園児にとっては心の成長にも効果があると考えられます。

しかしながら、現実には問題もあることが否定できません。介護と保育の両方をこなさなければならないスタッフの負担は大きく、ケアが不十分となることもあるのです。幼児は、同一空間に高齢者がいても遠慮することなく大声で叫んだり泣き喚いたりすることもあるでしょう。そうなると、静かな環境で過ごしたいと願う高齢者にとっては辛い状況になります。なかには、幼児を頭ごなしに叱りつけてしまう高齢者も現れるかもしれません。

しかし、このようなトラブルが起こる可能性はある程度予想できるものです。そのため、介護職員はそれを踏まえたうえで事前に対策を取る必要があります。まず、幼老複合施設に入所する高齢者には、幼児と共存すれば起きるであろう事態を十分に説明しておかなければなりません。また、園児の保護者にも幼老複合施設の特殊性を伝えておくことが大切です。保護者によっては、幼老複合施設の特殊性を理解していない場合もあるためです。

そして、介護職員は積極的に高齢者と児童の交流の場を設定し、1日も早くお互いに顔馴染みとなれるよう尽力する必要があります。相互に名前で呼び合える親密な関係を築ければ、トラブルも減っていくでしょう。高齢者と幼児の関係構築を当事者同士に任せきりにしても、相互理解は進まないままだといえます。